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霧矢あおいをよろしくお願いします。

【アイカツ!】鏡のその先に、【タルト・タタン小論集】

こんにちは、鶴です。
いつも記事を書くときはちゃんと上から書き進めるタイプなんですけど「白百合さくやさんの双子らしき人物の正体が露わになる日が待ち遠しいです」とか書いてたのに思いのほかあっさり白百合かぐやちゃんが登場してしまったので、本論を書き終わった後に改めて冒頭のご挨拶を書いているところです。なんだこれ。

はい、というわけで遂にアイカツフレンズ!にも白百合姉妹というゴシック勢が出揃いましたね。楽曲も『導かれて』に始まり、先日のちゃおフェスでは『絆~シンクロハーモニー~』と『偶然、必然。』も公開されて皆さんも益々「アイカツフレンズ、盛り上がって来たじゃない!」って気分ではないでしょうか。
そんなゴシック勢の参入に合わせてアイカツ!シリーズのゴシック組が歌う楽曲について述べていきたいと思います(強引な導入)(後から書いてることバレてる)(ま、いっか!)。 


アイカツ!シリーズ楽曲の一つ『タルト・タタン』。
恋の行方を占う語り部の健気な様を綴ったこの楽曲は、タロットに関する言葉やフランス語が歌詞に散りばめられており、また語り口も少女のような愛らしさが感じられることから、多々あるアイカツ楽曲の中でも独特の不思議な優美さを放ちます。

そんなタルト・タタンは氷上スミレの持ち歌の一つです。CDも出てますからね。楽曲権利の話はしません。
今回はタルト・タタンはスミレを物語っているという意見をちょっと掘り下げてみたいなーと思ったので色々と考えてたことを文字に起こしに来ました。久しぶりの楽曲考察って感じのやつです。

さて、論を進めるにあたってスミレをメインに据えた構成である以下の3話を参照することをお伝えしておきましょう。内容が薄れている方は是非とも再視聴をお勧めします。各タイトル後のリンクはあにてれの視聴ページです。
103話『いいこと占い』https://ch.ani.tv/episodes/7699
108話『想いはリンゴに込めて』https://ch.ani.tv/episodes/7704
117話『歌声はスミレ色』https://ch.ani.tv/episodes/7713

LoLi GoThiCを取り巻く事象に関して多くの有識者が様々な考察を行っていることは重々承知ですが、まあ私はまだ文章化していないということで温かい目で見守ってくだされば幸いです。
あ、でも温かいのはちょっとあれですね。鹿児島まだ暑いんで。かといって冷ややかな目線というのもちょっと……うーん、常温くらいの目線でお願いします。

<目次>

序論.タルト・タタンと鏡

今回はタルト・タタンと鏡について主に触れていこうと思うので、まずはその経緯について説明しましょう。
タルト・タタンのステージ演出を見てみると2種類の鏡が映し出されていることが分かります。

①ステージ中央に配置された鏡
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②スペシャルアピール『プレミアムクロックサーカス』で現れる鏡
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また、タルト・タタンが披露された108話の劇中においても鏡が用いられるシーンが存在します。
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そしてタルト・タタンの歌詞にも「万華鏡」という形で鏡が登場しています。

このようにスミレやタルト・タタンの周辺には鏡という存在が繰り返し用いられているのです。

また、このタルト・タタンの歌詞をアニメ本編と照らし合わせると、意図したと思わしき似通った内容がいくつか見て取れます。
○スミレの特技がタロット占いであることhttp://www.aikatsu.net/03/character/02.htmlf:id:wire_snow478:20180820221830j:plain
○108話 スミレの『いつかはきっと』というセリフf:id:wire_snow478:20180820221945j:plain
こうした点からタルト・タタンが氷上スミレを意識して製作された、もしくは本編のシナリオがタルト・タタンを元に書き上げられたと考えられます。

これらの事情よりタルト・タタンと鏡という2つの要素は氷上スミレという人物を読み解くにあたって欠かすことが出来ないであろうと推測し、考察を進めました。
この推論を元に103話、108話、117話周辺のスミレについて振り返ることにしましょう。

Ⅰ.ステージラストカットの変化が示すスミレのアイカツ

3回に渡って披露されたタルト・タタンのステージ。そのラストカットは1回目・2回目と3回目ではスミレの背後の鏡に異なる演出が施されました。
1回目・2回目は鏡が割れます。しかし3回目は鏡が割れず、合わせ鏡のように見え方が変化します。

〇103話ステージ『タルト・タタン』のラストカット
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〇108話ステージ『タルト・タタン』のラストカット
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〇117話ステージ『タルト・タタン』のラストカット
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このことについてアニメ本編のスミレと照らし合わせて考えてみましょう。

スターライト学園入学当初のスミレは自身の目標を見定められずにいました。「歌が好き」という理由でスターライト学園に入学したものの、実際にアイカツを始めてからは”自分はどうしたいか、どうなりたいか”という明確な目標を見つけられないことに不安を覚えていたことが分かります。
117話でスミレはこう述べています。

「歌は好き。でも私にってお仕事のオファーを貰うのはとっても嬉しい。一生懸命やりたい。プロの人たちが私にそれが向いてるって言ってくれるなら、それが私の得意なことなのかもしれない」
「あかりちゃんがお天気キャスターのお仕事に進んだみたいに、私もモデルに進んでみようと思う」

他人に勧められるがままに自分の進む道を選ぼうかと考える様子が見られました。自身の将来を見定められずにいたのがこの頃のスミレです。

そんな彼女の大きな転換点になったのは先程のセリフのシーンと同じ117話。モデルオーディションと歌唱オーディションの日程がブッキングしたことでどちらか一方を選ばざるを得ない状況に対面した時、彼女は他人に勧められたモデルの道ではなく自分で決めた歌の道を選択します。この回ではスミレの姉である氷上あずさが妹についてこう語っています。

「あの子ああ見えて自分のことは自分で決める子だから」
「決めたのはスミレ。大人しいあの子がアイドル学校でやっていけるか心配だった。それが今も続けていられるのはあかりちゃんみたいな大事な友達ができたからっていうのも大きいけど、自分で決めたことだったからだと思う」

家族から語られるスミレの本質。本当のスミレは自分の気持ちに向き合える人物であることが示されています。それを踏まえた上で彼女が歌の道を行くと決意するシーンを見ると、スミレの決意がより強く感じられるかのようです。

自分の真意に向き合えず先を見据えられなかったスミレと、自分の真意に向き合って先を見定められるようになったスミレ。この変化が内容・話数共にタルト・タタンの鏡の演出と合致していると考えました。

改めてタルト・タタンのステージにおけるスミレの背後の鏡について演出を確認します。
103話・108話のカットでは鏡が割れています。割れた鏡は亀裂が邪魔をして自分自身をあるがままに映し出すことは出来ません。
一方、117話のカットでは鏡が割れませんでした。その鏡はスミレの表情をあるがままに映し出しています。
この演出の違いが”スミレが自分自身の気持ちと向き合えているか”という状況を彷彿とさせます。

108話本編中の鏡についても触れましょう。
魔夜の屋敷を歩み進めるスミレは壁にかけられた鏡の前にたどり着き、そこで魔夜からこのように尋ねられます。

「鏡よ鏡。世界で一番LoLiGoThiCのドレスが好きなのは誰?」

その問いかけに対して、スミレはこう返します。

「確かに今は藤堂先輩には敵わないかもしれない。でも、それでも…。いつかはきっと!」

ドレスを手に入れられるか否かという状況で、意志の弱さを見せては断られてしまうかもしれないという状況で、彼女は等身大の自分自身の思いを伝えたのでした。自分と向き合い、理解し、その上で今の自身の立ち位置を恥じることなく高みを目指すと宣言して見せたのです。

このようにタルト・タタンにまつわる演出で登場する鏡が示すテーマは”等身大の自分自身と向き合うこと”であると考えます。
鏡というものは目の前にあるものをそっくりそのまま映し出します。その前に立つ人をより可愛く見せたり、より美しく見せたりすることは決してありません。よってこの鏡を用いた演出から”自分の現状を誤魔化さずに受け止めるスミレの強さ”が伝わってくると感じました。


117話のステージにおいて鏡が割れないだけでなく合わせ鏡のようになっていた点についても触れましょう。
合わせ鏡は向き合った鏡が幾重にも重なり、映し出される景色がどこまでも先へと続いています。この合わせ鏡の演出はスミレが未来を見通せるようになったことの暗示であると私は感じています。つまり、鏡の先に見える景色は時間軸の伸びを表しているという考え方です。そして遠くに見える景色こそ”歌を信じた自分自身”が進む道に他なりません。
また、鏡と時間軸の考え方を基に102話・108話の割れた鏡を見ると、自分自身と向き合えていない様子を表すと同時に、未来との断絶を示していると捉えられます。つまり、自分の将来について悩み続けて未来への一歩を踏み出せずにいたスミレがこの割れた鏡によって表現されていると解釈しました。117話でスミレは自身の決意についてこう語ります。

「占いでね、行く手には深い霧が立ち込め、どの道を行けば良いか分からないって出たの」
「先のことなんて誰にも分からない。だったら、自分のやりたいことをやりなさいってことだと思う」
「あかりちゃん言ったでしょ。お天気キャスターのオーディション受ける時、これが良いって思った自分の気持ちを信じて進んでみようと思うって」
「ありがとうね。自分の気持ちが分かったのあかりちゃんのおかげだ」
「私も信じてみる。自分の気持ち!」

自分の進むべき道が分からないまま立ち止まって迷っていたスミレが、自分の気持ちと向き合って信じた道を進む決心をする。そんな彼女の心の変化を合わせ鏡という演出から感じ取ることが出来ます。

また、同じく108話本編で登場した鏡についても、合わせ鏡の考え方と似通った点があります。
「いつかはきっと!」答えたスミレに対して魔夜は「お入り」と鏡のかかった壁を隠し扉のようにして開き、彼女をその先の部屋へ招き入れました。
鏡のかかる壁の奥へ進む様子は、鏡の先へ進むのと同じ状況であると捉えられます。すなわち、合わせ鏡で示した”鏡の先は時間軸の伸び”という考え方をここでも当てはめることが出来ます。実際に該当シーンを見ると、鏡で自分と向き合い、それを乗り越えた先でプレミアムレアドレスを手に入れるという状況が、鏡の先に待つ理想の未来を掴む姿を想起させます。
よってこのシーンもまたタルト・タタンと鏡について考える上で重要なシーンであるでしょう。


"幾重にも重なった鏡"と"鏡の先に待つ理想"をタルト・タタンを用いた演出の中に見出しました。これから先も幾度となく自分自身と向き合い、それを乗り越えて理想の未来へ進んでいくスミレのアイカツの在り方が鏡という演出を通して語られていると感じます。


Ⅱ.万華鏡が表すスミレの迷い

先述したようにタルト・タタンの歌詞には万華鏡という形で鏡が登場します。鏡について語ってきた以上、これも避けては通れない話題です。

まずは万華鏡の構造について理解しましょう。皆さんが手に取れるような一般的な万華鏡は下図のような仕組みになっています。
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(出典:2011-242735号 万華鏡 - astamuse)

図の5で示されているように万華鏡の中には斜めに向き合った複数枚の鏡が仕込まれています。これが合わせ鏡を応用した仕組みになっており、鏡同士を正面ではなく斜めに向き合わせることで広い範囲に景色を展開させることが出来ます。
こうした万華鏡の景色の展開の仕方がスミレのアイカツを物語っていると考えました。

万華鏡が117話の合わせ鏡と異なる点は視界の広がる方向です。
117話のステージのような合わせ鏡は視界が一方向に広がっていくため、鏡に対して正面に向き合えば視界はまっすぐ先へと伸びていきます。
これが先ほど記したように「歌が好き」という自分自身の思いに向き合ってこれからのアイカツに臨もうとするスミレの可能性を表していると考えました。

一方で万華鏡は覗き見る人の目線に対して視界が水平に広がっていきます。かつ、正面には鏡が無いので前方向への視界は有限です。
この横方向にだけ無限に広がる万華鏡の視界が迷いを見せるスミレの心を表しているように見えます。

アイカツ!3rdシーズンのスミレは”歌が好きだけど世間はその美貌に着目している”という描写が多く見受けられました。102話であかりがスミレに対して「氷上さんってほんとに美人だね」と漏らすシーンや、117話で織姫学園長からシャンプーのCMのオファーを伝えられる際に「あなたの凛とした美しさを気に入ってるそうなの」とスミレの容姿について触れられるシーンなどがそれに当たります。
『ステージに咲く氷の花』として歌声・美貌といった多くの持ち味に恵まれるスミレでしたが、それでも彼女は自分の進む道を決めあぐねていました。こうしたスミレの迷いが万華鏡を覗いて見える景色によって表されていると感じました。
万華鏡は煌びやかな景色が視界一面に広がりますが、どれだけ広がりを見せてもその視線は筒の向かい側で打ち止められてしまいます。こうした万華鏡の構造が、彩りある選択肢を与えられても自分の夢に向き合えず未来を見通せていないスミレの様子と合致すると解釈しています。
華やかな景色を見ているだけでは前に進むことが出来ないというスミレへのメッセージを万華鏡という単語から感じ取ることが出来ました



タルト・タタンの歌詞に関連して小話を挟みましょう。”タルト・タタン歌詞中の『彼』とは誰なのか”というお話です。
タルト・タタンの歌い出しに『un 占ってよ 私の恋を deux 彼のことをまだ知らないの』とあることから、この曲に登場する語り部は『彼』に恋していると読み取れます。スミレの軌跡を象るタルト・タタンにおいて、彼とは誰なのか。恋とは一体何を表しているのか。
結論から言えば、タルト・タタンの彼は自分自身を表していると考えています。その根拠について述べましょう。

アイカツ!で恋という話題に触れたシーンの代表として劇場版アイカツ!があげられます。該当シーンから花音のセリフを引用しましょう。

花音「それにそういうの書くの、わたし得意だよ。そういう、恋みたいな気持ち!」

いちごに楽曲制作を依頼された花音が『輝きのエチュード-prototype-』を届けに来た際に交わされた会話の中の一節です。美月に対する思いを語るいちごに対して花音が先ほどの言葉を投げかけたこと、いちごが美月に対して憧れを抱いていることから、アイカツ!において"憧れ=恋みたいな気持ち"と形容する文脈が読み取れます。

それでは"憧れ=恋みたいな気持ち"としたとき、スミレが憧れる対象とは誰でしょうか。
前例としたいちごのように、スミレにとって憧れのアイドルや目標とするアイドルがいるかと考えると、本編中では語られていないように見えます。LoLi GoThiCのドレスを纏う先輩としてユリカの存在がありますが、具体的にユリカに対する憧れがあると見られる描写はありません。108話では、部屋の壁に貼られたユリカの映るポスターを眺めながらあかりはスミレにこう語りかけます。

あかり「スミレちゃんの好きなブランドって、LoLiGoThiCだよね」

ここから、スミレはユリカのことを憧れの対象としておらず、あくまでLoLi GoThiCという同じ道を歩む先輩として見ていると考えられます。

ここで先ほどの鏡の文脈を持ってきましょう。
スミレは自分自身と向き合うことで歌の道を進む決意をしました。「いつかはきっと!」という思いで向き合った自分を乗り越え続けることで歩みを進めるのです。すなわち、スミレが憧れるものとは向き合った自分の先にいる自分。歌という道のりの中で今の自分の立ち位置よりも先に立つ自分自身ではないかと考えます。


また、歌詞の「イジワル 拗ねた横顔」から彼が語り部から見て横を向いていることが分かります。彼が自分自身であるとすれば、このこともまた自分の夢と向き合えていないスミレの境遇を表していると捉えられます。そして「イジワル 拗ねた横顔」という歌詞の続きが「読み取れない万華鏡」であることから、この二節が並列であると見ることも出来るでしょう。"自分自身と向き合えていない"ということを反復して主張しているのがこの箇所であると考えます。


こうした事情から、演出だけでなく歌詞という観点からも「タルト・タタンがスミレを物語っている」と感じることが出来ました。


Ⅲ.20話と108話が語る『強い女の子』のあり方

ここまでタルト・タタンと鏡について述べてきましたが、アイドルと鏡の関係はスミレとタルト・タタンに留まるかといえばそうではないと考えています。
LoLi GoThiCのスペシャルアピール『プレミアムクロックサーカス』。このアピールを使用するアイドルがアイカツ!劇中にもう一人存在します。そう、先程話題に出したLoLi GoThiCの元祖である藤堂ユリカです。

彼女の持ち歌『硝子ドール』の歌詞中に「乱反射する眼差し 鏡越しに誰かが見てるの」と鏡が登場しています(※65話『夢への扉』において硝子ドールが藤堂ユリカの持ち歌であるという言及あり。楽曲権利の話は)。

また、彼女の披露するクロックサーカスにもスミレと同じく鏡が登場します。
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同ステージが披露された舞台の壁面に鏡が吊るされていることもLoLiGoThiCの世界観と鏡の関係性について示唆されます。
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LoLiGoThiCのドレスを纏うアイドルが二人して鏡という演出を使用したのであればこれについても触れずにはいられません。とはいえ本論はスミレを主軸においているのでユリカに関しては深く掘り下げることはしませんが、少しだけ論じていきたいと思います。

クロックサーカスはアイカツ!で登場するブランドスペシャルアピールの一つですが、ここでスペシャルアピールについてフォトカツ!シナリオ内において発信された極めて重要な情報を確認しましょう。
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この発言によりデザイナーがブランドのスペシャルアピールの演出に携わっている可能性が示されました。スペシャルアピールはアイカツシステムの意思やら何やらによって自然発生するわけではなく、デザイナーを始めとした演出家の手によって創り上げられるということです。
つまりLoLi GoThiCトップデザイナーの夢小路魔夜が意図を持ってLoLiGoThiCのスペシャルアピールであるクロックサーカスに鏡をデザインしたと考えることが出来るため、LoLi GoThiCのアイドルを鏡と結び付けて考える正当性がより堅実になるものと思われます。


さて、先ほど私は鏡の役割について「等身大の自分自身と向き合う」と述べました。それを踏まえた上で20話『ヴァンパイア・スキャンダル』のセリフを引用します。

魔夜「今のキミに、このドレスが着こなせるかな。僕のドレスはね、強い女の子にしか似合わないんだ。毅然と凛々しく、顎はツンと上向きに。(中略)デザイナーは魂を込めて服を作る。だから、その服に相応しい人間に着てもらいたいと願う。今のキミがこのドレスに相応しいと胸を張って言える?」
ユリカ「言えません…。でも私、LoLiGoThiCのドレスが大好きなの!今はまだプレミアムレアドレスに相応しくないかもしれない。でも、きっとそうなる!そのためならどんな努力もする!私は誰よりもLoLiGoThiCのドレスに相応しいアイドルになります!」

ユリカは魔夜の問いに対して、強がることなく「言えません」と否定しつつも「誰よりもLoLiGoThiCのドレスに相応しいアイドルになります!」と理想の自分自身になることを誓うのです。
これが117話のスミレの返答と極めて似通っています。改めて117話のスミレの返答をここに引用します。

魔夜「鏡よ鏡。世界で一番LoLiGoThiCのドレスが好きなのは誰?」
スミレ「世界で、一番…。それは!」
魔夜「世界で一番好きなのは…?」
スミレ「確かに今は藤堂先輩には敵わないかもしれない。でも、それでも…。いつかはきっと!」

スミレは魔夜の問いに対して、強がることなく「藤堂先輩には敵わないかもしれない」と否定しつつも「いつかはきっと!」と理想の自分自身になることを誓うのです。
言い回しは違えど、二人が同じく”ありのままの自分を受け入れた上で高みを目指す”という信念を持っていることが分かります。

自らの弱さを認めてそれを乗り越えようとする。そんな女の子に対して魔夜はプレミアムレアドレスを託すのです。
このように20話と117話はどちらもLoLi GoThiCに相応しいアイドルについて描写していると感じました。

また、117話には20話を意識したと思われるシーンが存在します。
20話で魔夜はドレスに対してこのように思いを吐き出します。

「デザイナーは魂を込めて服を作る。だから、その服に相応しい人間に着てもらいたいと願う」

そして117話では魔夜の屋敷に怖気づくスミレ達に向けてユリカがこう言い放ちます。

「あんまり甘えてると血を吸うわよ。LoLiGoThiCのドレスは魔夜さんの魂。そのプレミアムレアドレスを着ていいのはこのブランドを愛し、理解し、その世界の住人になれる者だけ。私はそう思ってる」

LoLiGoThiCの住人として”ドレスはデザイナーの魂”という魔夜の主張を代弁するまでになったユリカの成長がこのセリフから感じ取れます。

また、魔夜が自分の部屋に辿り着いたアイドルに振り向く時の構図も極めて似通っています。
〇20話の魔夜
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〇117話の魔夜
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こうした点から117話は20話を踏襲していると考えられ、共にLoLi GoThiCというブランドの住人になろうとするアイドルの挑戦を描いていることが分かります。

20話と108話からスミレとユリカは同じような意思を持ち合わせるアイドルであると分かることから、魔夜の求める『強い女の子』の像が浮かび上がります。
そんな魔夜の”等身大の自分自身と向き合う"ことを重んじる姿勢がクロックサーカスの鏡という演出に込められているのではないかと考えました。


おまけ.白雪姫から見るタルト・タタン3ステージで纏ったドレスの遷移に関する考察

せっかくタルト・タタンの話をしているので、鏡に関係なくて本論では扱えなかったことについてちょびっとお話しさせてください。

今回扱った3回のタルト・タタンのステージにおいてスミレは毎回異なるドレスを纏っていました。それぞれのドレスを確認しましょう。

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1回目:ブラックスワンオディールスワン

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2回目:スノープリンセス

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3回目:マジックミッドナイト

このドレスの変化について重要な点は”117話のスミレはプレミアムレアドレスを所持しているのにあえて使用しなかったこと”です。この演出の意図について白雪姫のストーリーが関わっていると考えています。

白雪姫にまつわるアイカツ!本編中の魔夜のセリフを引用します。

「実はその林檎、付けるかどうか最後まで迷ったんだ。だって物語の中では白雪姫を危機に陥れる毒林檎。白雪姫のドレスに付けるのはどうかなって」

スノープリンセスをデザインした魔夜にとって、このドレスにあしらわれた林檎は白雪姫を危機に陥れる毒林檎であると考えているのです。
そんな毒林檎を象徴するドレスを脱ぎ捨てる。ここに意味があると考えました。

さて、更に論じる前に白雪姫のストーリーを振り返っておきましょう。物語の序盤~中盤は割愛します。

王妃は、毒を仕込んだリンゴを造り、善良なリンゴ売りに扮して白雪姫を訪ねる。白雪姫は疑いもなくリンゴを齧り、息絶える。
やがて帰ってきた小人たちは白雪姫が本当に死んでしまったものとして悲しみに暮れ、遺体をガラスの棺に入れる。そこに王子が通りかかり、白雪姫を一目見るなり、死体でもいいからと白雪姫をもらい受ける。
白雪姫の棺をかついでいた家来のひとりが木につまずき、棺が揺れた拍子に白雪姫は喉に詰まっていたリンゴのかけらを吐き出し、息を吹き返す。蘇生した白雪姫に王子は喜び、自分の国に連れ帰って妻として迎える。
(出典:白雪姫 - Wikipedia ~ 引用元として拒否反応が出る方は各自ggるなりして下さい)

死因が毒かと思いきやりんごを喉に詰まらせたことによる窒息だったのは結構ツボなのですがそれはさておき、このように白雪姫は林檎を吐き出すことで、つまり林檎から離れることによって生き返るのです。

さて、アイカツ!本編の話に戻りましょう。
再度になりますが、魔夜はスノープリンセスの林檎を毒林檎として捉えていました。つまり毒林檎があしらわれたこのドレスを身に纏うことは毒りんごを手にする行為、すなわち死に結び付く行為であると連想出来ます。死とはその人にとっての時間が停滞することであるという風に考えることも出来ることから、その人にとっての未来が途絶えることであると言えるでしょう。これがⅠで述べたスミレの迷いから来る停滞と重なるように感じます。モデルの道という甘い誘惑、これに手を出したことでスミレは理想である歌か現実を見たモデルか決断することが出来ずにいました。
そしてスミレが「自分の夢を信じたい」という意思を持って臨んだステージおいて、彼女は白雪姫が毒林檎を吐き捨てるかのようにスノープリンセスを脱ぎ去りました。林檎と離れることによって停滞から脱し、輝かしい未来への一歩を踏み出したのです。

白雪姫が王子という”恋”する相手と出逢うかのように”歌の道を歩み続ける自分”と何度も出会い、そして向き合い続けるスミレのアイカツは、真の意味で117話の目覚めから始まったと言っても過言ではないでしょう。


おわりに

とまあこんなところ。スミレ三部作と称される103話、108話、117話は他にも触れたい点が山ほど存在しますが今回はおおよそタルト・タタンと鏡の演出に絞って述べてきました。前置きでも言いましたがスミレ周辺に関する考察は多くの有識者諸氏が行っているので是非とも探して読んでいただきたいところです。


そしてもう一つ。
今回タルト・タタンと鏡に纏わる考察を進めてきたのですが、アイカツ!本編のエモさ以外にもこの記事を通してお伝えしたいことがあるのです。

タルト・タタンにおいて鏡の演出が103話・108話と117話とで異なるという話は再三してきましたが、実はこの演出の違いについてアイカツ!3DCGディレクターの北田氏がその意図を解説しています。

ーー「タルト・タタン」のステージでは、1回目と2回目は鏡が割れる演出がありましたが、3回目は割れていません。あの演出の意図は?
北田 1回目と2回目はデータカードダスと同じ演出にしたんですが、3回とも同じ見せ方にしてしまうと飽きられてしまうと思ったので、3回目は合わせ鏡を取り入れるなど大きく演出を変えたんです。本当にそれだけで、あまり深い意味をもたせていませんでした。
(出典:学研/アイカツ!ステージビジュアルブック)

なんと特に意味は無いのです。あっけねぇ。
しかし北田氏の言葉はこう続きます。

視聴者がそれぞれに、自由に解釈してくださっていい部分だと思っています。
(出典:学研/アイカツ!ステージビジュアルブック)

そうなのです。解釈は必ずしも公式の見解と一致している必要は無いのです。

ここで改めて、私のブログでも過去に幾度となく用いている「解釈」という単語の意味を知っておきましょう。

かい‐しゃく【解釈】
[名](スル)
1 言葉や文章の意味・内容を解きほぐして明らかにすること。また、その説明。「徒然草を解釈する」「英文解釈」
2 物事や人の言動などについて、自分なりに考え理解すること。「善意に解釈する」
 (出典:小学館/デジタル大辞泉)

2の意味が特に重要です。解釈とは「自分なりにどう思ったか」ということであり、それに正誤などありません。というより、全てが正解なのです。

そもそも私だって先程引用したステージビジュアルブックの一節を知った上で一連の考察をカタカタ打ち込んでいたわけですから、正解なんて知ったこっちゃないって気持ちですよ、ええ。そこに意味は無いって言われても「いや私はこう思ったんだから良いじゃないのさ」って感じです。

だからアイカツを見て思ったことについて「間違ってるかもなぁ」なんて不安になることなんてありません。そこに間違いなどないのだから。あるのはせいぜい解釈違いくらいです。自分の思いを素直に声にしましょう。文字にしましょう。アウトプットこそが理解の最大の近道です。自信を持って発信していきましょう。
私は皆さんが持つ様々なアイカツに関する「解釈」が聞きたい。そう切に願います。
 


スミレは自分の思いを信じてアイカツに臨んできました。そしてアイカツ!アニメ本編が幕を閉じ、フォトカツ!のサービスが終了した今でも、スミレは変わらず歌を極めるべく自分の思いと向き合い続けていることでしょう。
そんなスミレのアイカツを見てあなたは「どう思ったのか」「どう感じたのか」。自分なりの気持ちを大切にして日々を歩んでみませんか?
































































































 








































































































































 











自分自身の理解、気付き……71話じゃん………『キラめきはアクエリアス』じゃん………
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