🍀君は光るダイヤモンド

霧矢あおいをよろしくお願いします。

芸カ20感想『プロローグ』(@zucker_26)


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あおいがスターライト学園に”編入”したということは、中学進学時に”地元の中学校を選択した”ということ。あまりに当然の事なのですが、それ故に気付くことも向き合うことも出来ませんでした。何故そこに着目できなかったのかと思わずアイカツに出会ってから今までの人生を振り返っているところです。

小学生から中学生の頃って極めて閉鎖的コミュニティに属しながら日々を送るわけですから、自ずと周りと同じ道を歩むことが正解であると考えてしまうことでしょう。私は中学受験を行った身なのですが、小学校時代は塾に行く同級生と多くの時間を共に過ごしていたので、受験をして進学することがある種の当然として考えていた節があったように回想します。

そんな中で周りのみんなと違う道を選ぶことへの恐怖、葛藤、懐疑心。それはもう多大なるものであったでしょう。大好きなものを追いかけるのだって正解。みんなと一緒に時を歩むのだって正解。そんな時に「自分は……」と悩むとどうしても思考が安定に揺らいでしまうのは仕方のないことです。ましてや世界の広さをまだ知らない子供だからこそ、未知の世界へ踏み出す恐怖は大人のそれと比べ物にならないはずです。

そして同時に無意識化に存在する親の絶対的決定権もまた小さい子供が抱える壁の一つ。大きな決断を迫られたなら、親の言うことに従ってしまうのは仕方がありませんよね。特に御両親から愛を持って大切に育てられたあおいのことです。自分のためを思ってかけられる親からの言葉に拒否を示すことなんてできるでしょうか。彼女にとって、それはとても難しいことだと思います。

こうしてアイドルの道を自ら断ったあおい。それでもあの日憧れたアイドルへの思いが錆び付くことは無く、ずっと胸の奥で眠っていたことでしょう。まるでお気に入りの宝箱に仕舞い込んで、棚の上にポツンと置いておくように。いつでも目に留まるし開けようと思えばいつでも開けられるけど、わざわざ手に取ろうとはしない、小さくて綺麗な宝箱。

その小箱がふとしたきっかけで足元に転がってくるかのように突然訪れたきっかけ。自分からは結び付けようとしてこなかったいちごとアイドルの会合。こんな偶然がありましょうか。正に穏やかじゃない。「穏やかじゃないわね。いちごからアイドルの話が出てくるなんて」という台詞がみるみるうちに深まっていく感触を覚えました。更に運命が悪戯するように開催されるスターライト学園編入オーディションと、親友のいちごに生まれたアイドルへの興味。そんな宝箱の鍵があの時の憧れを解き放つわけです。いつか仕舞い込んでしまった気持ちの真の輝きに気付いて、今度こそはと未来に向けて一歩踏み出すあおいの姿に胸が熱くなりました。


読了感が実に爽快で、今台風で風が吹き荒れていることすら忘却の彼方です(2019.10.13)。
私、アニメ本編と地続きになっている補完系のストーリーが大好きなんです。描写されることの無かった空白の中でアイドル達がどのように頑張って来たか、悩んできたか、涙を流してきたか。そうした想像を掻き立てられることで改めて本編のカットに新たな着目点を得られるわけです。作品にぶつけられた作者様の愛によって、もっとアイカツのことが好きになってしまう。

そんな思いを持って拝読した『プロローグ』。最高でした。

ずっと”始まり”だと思っていた第1話がとたんにあおいのストーリーの中間地点に思えてしまうような作品の実在性。それはそうですよね。あれだけ冷静な判断力を持つあおいが突拍子もなくスタライ編入試験を受けようとするなんて私には思えません。スターライト学園に入学したいと思うバックグラウンドが存在して然るべきです。それを砂糖さんの繊細な解像度で表してくれたことに感謝の意がノンストップ。霧矢あおいという人物が更に好きになってしまいました。

それと裏表紙！真っすぐ前を見据えたあおいが裏表紙に描かれているのも示唆的で好きです…。漫画側すなわち過去に背を向けて、漫画のページをめくるのと同じ方向つまり未来を見つめているわけじゃないですか。正にこれから始まるあおいのストーリー。発想力がヤバイです……すげぇ(すげぇ)。彼女の行く先が輝かしいものになるであろうと期待に胸が膨らみます。

あとイラストのペーパー！ありがとうございました！もうめちゃくちゃにはちゃめちゃに可愛くて穏やかじゃない中の穏やかじゃない！！！今も何度も見返して溜息が止まりません｡｡｡サークル参加の特権で0秒凸することに若干の罪悪感を覚えつつも絶対に頂戴したかったので、手に入れられて超嬉しいです…。ただ、それぞれのイラストを拝見だけはしておけば良かったと若干後悔しております(自スぺ投げ捨てて買い物に出ていたので結構焦ってました)。あと御友人の残像ではありません(？)。

適確(というよりも私の思うものと近い？)な分析と想像が本当に素晴らしく、あおいちゃんを好きな方としてとても尊敬しています。改めて、素敵な作品をありがとうございました！


鶴